55話 君のために出来ること
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「……そうだよね。ルーチェ?」
その向こうには何もないのをわかっていて部屋の扉に目をやる。カチャリと音を立てその扉はは開いた。
「私が成したかったことと君の成したかったことは違う」
現れたのは私と同じ顔の少女。同じ杖を手にし、ゆっくりと近付いてくる。
「私はユリアの預言を覆し、世界を滅びへと向かわせないために君を利用したんだ」
全くの無表情で彼女はそう言った。けどそれをショックだとは思わない。
「どちらにしてもあなたは邪魔をしていたんでしょ?」
預言通りだろうと無かろうと。どちらも世界が破滅するのだから。ルーチェはそれを知っていた。だからこそなんだろうけど。
「なんにしても私は君に辛い思いをさせた。それに関しては申し訳ないと思っているよ」
「気にしてないよ。痛いし苦しいこともあったけど、今は結構幸せなんだよ」
今まで味わったことのない大怪我をしたり、悲しい思いもした。けどそれはみんなと出会えたから味わうことが出来た。絶対に出会うことが出来ないと思っていた人たちだから。
「……君は、それをやる気かい?」
ルーチェは視線を私から机の上の方へと移す。先程まで読んでいたもの。
「これが私の望みだから」
何か手だてがないのか、可能性はないのかと何度も考えたことがある。特にレムの塔での後はほぼ毎日。誰かに相談しようにも過去に例がないもの。今のこの世界では不可能な事。
「いつだって君は他人のことばかりだね。自分のために動こうとは思わないのかい」
少しだけ首を傾けるルーチェ。シャラっと帽子の飾りが揺れる。自然と向けていた視線を飾りからルーチェへと戻す。相変わらず無表情で感情は読みにくい。こんなにわかりやすい私と同じ魂の持ち主とは思えない。