55話 君のために出来ること
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「……てか本多すぎ」
結構な時間探し回ったけど見当たらない。ただ惑星譜術を見つけただけで終わっちゃう。さすがに疲れてしまい椅子に腰を下ろし机に頬杖を付く。簡単に見つかれば苦労しないけど、普通に考えってそれが存在する可能性は薄い訳で。
「ん?風……何処から……?」
優しく頬を撫でる風。窓は閉まっている。というより、この部屋は特殊な術によって周りからは閉鎖されている空間に存在している。窓から見える景色もルーチェが使用していた頃の景色な筈。本来の景色じゃない。そんな部屋の中で風が流れるなんて。
「……っ?」
驚く私を更に驚かす事が起きた。机の上に無造作に置かれていた数冊の本の中の一冊がパラパラと捲れる。適当にページが捲れたところで風は止み本もある場所を開いていた。
「……これはっ!?」
私が探していたもの。存在していたんだ。これで、彼を助けることが出来るかもしれない。ただ代償はある。けど私にとってもそれはとても些細なこと。それを負ったからと言って別に何とも思わない。
「………あとは」
これを使うのには『その時』にならないといけない。今使っても何の意味もない。そして代償は一つでは済まないかもしれないこと。少なくとも二人には話さなくてはいけない。どっちも反対するかなぁ。それと、もう一人の彼のことも考えなくては。
「それもその時にならないと」
今はどうしようもない。預言を必要としていない者に私の言葉も必要としないだろう。彼の地での約束をした以上、避けては通れない道だし。
「……成せば成る」
ずっと言い聞かせてきた言葉。全てがそうだったわけじゃない。でも成さねば何も始まらない。だからこそ私は存在しているのだろう。世界を跨いで、魂は彼の世界へと戻ったのだから。