55話 君のために出来ること
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「……さて、と」
タタル渓谷の入り口でみんなとは別れ、一人でセレニアの花畑までやって来た。まだ日が高く明るいから、ただ白い花が咲き誇っているだけ。夜になったらもっと綺麗に咲く。見たいけどその時間は殆どないだろう。
「行きますか」
手の杖を、トンっと地面に付く。すると景色が一瞬にして変化する。花畑から一面本が敷き詰められた棚で覆われた部屋。目立つのは机の向こうの大きな窓。そこからは暖かい光が注がれていた。
「ここに……」
あるのだろうか。私が探す物は。ともかく探してみなければ始まらない。適当に探しては見つからないから、とりあえず端から順に探すかな。それともカテゴリー別にわけてあるかな。ルーチェって几帳面っぽいし。何にしても本棚を覗いてみるかな。
「………違う」
端から順に確認する。大体の物は背表紙に書かれたタイトルでわかる。曖昧な物は一度手にとって中を確認するが、これという物はない。ただ、驚いたのは本来ゲームではサブイベントで見つける筈の惑星譜術を記した本があったこと。さすがはルーチェと言ったところか。これは後々必要になるから読んでおこう。
「私の説明で理解してもらえるかなぁ」
読んで理解はした。自分で使う分には問題ないと思うけど、いざ人に教えるとなるとどうだろう。相手はあの死霊使い様だし。持ち帰れるかはわかんないけどメモもしておこう。
「それより、アレに関する本はないのかな」
まああったらかなり私の希望通りになっちゃうけど。だって納得できないから。そんな理由でその本を探している訳で。
「……おこがましいのかな?」
可能性を示す標になるとか言っておきながら、自分の願望を叶えようとしている。少なくとも私の願望に賛同してくれる人は多々いる筈。それでも個人的なものと言われればそうなんだけど。