55話 君のために出来ること
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「うるせぇっ!偉そうに啖呵切っておいて逃げるつもりか?おまえはおまえなんだろう?それを証明して見せろ!でなけりゃ俺はおまえを認めない!認めないからなっ!」
勢いよく捲くし立ててアッシュは私たちに背を向けて立ち去ろうとする。
「アッシュ!待ちなさい!今のあなたは言っていることがめちゃくちゃですわ!」
「うるせぇっ!」
呼び止めるナタリアにまで怒鳴りつけるアッシュ。
「待てよ、ナタリアに八つ当たりするな。俺は……」
「あいつの――ヴァンの弟子は俺だけだ!てめぇはただの偽物なんだよ!」
先日、ヴァンがルークを認める発言をアッシュの前でした。その前にもあったけどアッシュ前では初めてだ。きっと存在だけではなく師匠と弟子という立場すら奪われると思ったのだろう。
「俺はあいつを尊敬していたんだ」
利用されていることは知っていたしそれでもいいと思っていた。でも全ての人間をレプリカにするということさえ言わなければ、弟子であり続けたいと、苦しげに口にする。
「アッシュ、おまえ……」
「エルドラントに来い!師匠を倒すのは弟子の役目だ。どちらが本当の弟子なのか、あの場所で決着をつける」
今度こそ、アッシュは去っていった。誰も止めることなく。
「あいつがうらやましいよ。あいつは……いつだって師匠に認められていた。おれだって、認められたかった。弟子でありたいって思ったんだから……」
側に寄るティアに言うように口を開く。互いが互いに無い物ねだりをしている。それは、誰しも同じ筈なのに。
「そろそろケセドニアに参りましょうか」
と動こうとしなかった私たちに声を掛けたのはジェイド。そうだなとみんなが歩き出す中、私だけが動かない。