54話 彼の者に流れる哀歌
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「そういえば、さっき真咲は何をしようとしたんだ?」
アルビオールへと戻る途中、ルークが足を止め私へと振り返る。
「大佐が止めてたよね」
「何かするつもりだったのか?」
途中まで詠唱に入っていたから全員が気づいていたみたいで、視線が一斉に集中する。誰も突っ込まなきゃ言うつもりはなかったんだけど、言わざる得ない状態だよね、これは。
「お、怒らないでね?」
怒られるとは思わないけど、結構無茶なことをしようと自分でも思ってるし。だから先に保険をかけてみる。
「……移動方陣で、モースの体内から第七音素を転移できないかなぁ……なんて……」
前に私やティアの体内から瘴気を転移させたようにと、説明するが段々声が小さくなる。だってみんなの目が微妙に怖いんだもん。
「そんな事しようとしてたのぉ!?」
「真咲の体に負担がかかるのではなくて?」
「無茶するなぁ」
感想は様々なんだけど、一気に呆れ声になったような。いや、怒鳴られるよりはいいんだけど。
「ただジェイドさんにはもう手遅れって言われたから……」
「精神汚染が進みすぎていましたからね、たとえ消すことが出来て人の姿に戻ったとしても長くは生きられなかったでしょう」
それでは真咲の体に負担がかかるだけです。とジェイドが説明する。
「もっと早く気付いていれば、助けてあげれたかもって……自己満足かもしれないけど」
誰であろうと死んでいい人はいない。私たちが作ろうとしている未来にモースがいてもおかしなことは何もないから。
「我ながら詰めが甘かったかな」
「そんな事ない」
自嘲じみた笑いを浮かべると、ルークが首を横に振る。そしてもう一度、そんな事と言ってくれる。