54話 彼の者に流れる哀歌
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「いけない!アピアース・ゲイル!――ナタリアっ!」
「ええ!浮上を退ける力となれ――リキュペレート!」
ティアが風のFOFを発生させる。ナタリアが私たち全員が範囲に入る位置へと近付き、治癒術を発動させる。ナタリアのおかげで状態異常が回復する。
「迂闊に近付けないよぅ……」
「でもやらないと!」
一度受けてしまうと慎重になる。そう思うと攻撃を躊躇ってしまう。動きが鈍るルークたち。やるなら、今しかない。
「――時を紡ぐ者どもよ 我が声を聞き、我が声に答えよ……」
「やめなさい」
杖を構え言葉を紡ぐ。けど途中で腕を捕まれて遮られる。止めたジェイドを見上げれば厳しい表情のまま首を横に振った。
「あそこまで精神汚染が進んでは第七音素をモースの体から出しても……もう間に合いません」
私の考えを読んでいたんだ。いや、詠唱に入った瞬間に察したのかもしれない。第七音素が彼を狂わせたのなら、私自身とティアの体か瘴気を消し去ったようにモースの体から第七音素を消してしまおうと戦い始めてから考えてたのだ。が、その希望は打ち砕かれた。
「ここまで来たらやるしかないんです」
「……はい」
もっと早く思い付いていればと後悔する。もう今更だ、本当に今更だ。
「大地の砲吼。其は怒れる地竜の爪牙!――グランドダッシャー!」
「この重力の中で悶え苦しむがいい――グラビティ」
救いとは何か。何をもって救いというのか。今は私たちに出来ることは一つしかない。
「ルーク!もう……終わりにしてあげよう」
消極的になってしまったルークに声を掛ける。驚いたような顔で私を見た後、力強く頷いてモースへと向き直る。
「これで終わりだっ!食らえっ!レイディアント・ハウルっ!」
譜術で足止めされていたモースにルークの秘奥義が撃ち込まれた。