54話 彼の者に流れる哀歌
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「なんだ?何かが近づいてくる」
奥へと進み続けると、奇妙な音が聞こえてきた。いやな予感がするな、とガイが表情を険しくする。そして最深部目前までやってくるとまた、同じ音が聞こえてくる。
「さっきの音よ!」
「くそ!敵か!?急いでゲートを閉じないと……」
「早く早く!間に合わないよぅ!」
敵襲と察しルークは慌てて宝珠を掲げる。アブソーブゲートの時のように譜陣が宝珠に反応し始める。
「上です!」
あと少しで譜陣の機能が停止できる筈だったのに。ジェイドの声に一斉に天を見上げればモースがこちらへと飛んできた。
「すこあを……!ひゃははははっ!?すこあをまもるために……!おまえたちぃ……!」
精神汚染がかなり進んではいるがまだ意識はある。こんな姿になっても、こんな状態になっても、まだ預言に依存しているモース。アニスだけじゃなく、ここにいる全員が哀れんだ目で見る。
「導師……いえ、大詠師モース!お願いです!正気に返って……」
ティアが必死に呼びかけるがモースはそれに答えることなく、異形化した体で押しつぶすかのように攻撃を仕掛ける。
「……うらぎりものぉをををを!?ふおっ……世界はめづぼうざぜばじな……っ」
「……戦おう!このままでいい訳がない!」
これ以上は見てられないと言わんばかりに剣を抜くルーク。倣うかのように私たちも武器を構える。預言預言と馬鹿みたいに執着していて、私たちを何度も窮地へと追い込んだ彼だけど、ルークの言うとおりこのままでいい訳がない。
「……もう、終わりにしよう」
召喚した杖を一回転させ構え直す。助けられるものなら助けてあげたいけど、ここまで来たらもう無理だ。ディストがあんな姿にさせる前に助けてあげればよかったと今更ながら思う。そんなもの、本当に今更だ。