54話 彼の者に流れる哀歌
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「皆さん、どうされて……彼は……?」
ダアトに戻り、イオンの部屋へと行く。戻ってきた私たちを不思議そうに見るが、アニスの後ろに隠れた少年へと視線を向けた。そして目を見開いて驚き、ルークへとその視線を移した。
「イオンと同じレプリカだよ」
「アブソーブゲートに……兄やモースと共にいました」
その一件について、いつもの如くガイが説明する。それを黙って聞いていたイオンは未だアニスの後ろに隠れる彼に近づく。
「もう大丈夫ですよ。今日からここからあなたの家ですよ」
「……家?……僕の……?」
そっと彼の手を取り微笑む。まだよくわからないのか首を傾げる。
「大丈夫だよ。イオン様はあなたに預言を詠むように強制したりしないから」
アニスも彼に向き直り安心させるかのように笑顔を見せる。
「……アニスは……残らないの?」
「うん。やらなきゃいけないことがあるから」
自分だけがここに置いてかれるというのはわかったのか不安げな表情を浮かべる。
「大丈夫。全部終わったらアニスは戻ってくるよ。時々顔も見に来る。勿論、俺もさ」
ルークも彼の頭を優しく撫でる。少し安心したのか小さく微笑む。
「ところで彼の名は何というのですか?」
誰一人彼の名を知らない。すると全員の視線が私へと注がれる。まあ、当然知ってるけど。
「彼の名はアニスが付けてあげて。それが一番いいよ」
シナリオがというのもあるけど、彼が一番懐いてるのがアニスだというのは誰が見てもわかる。
「……フローリアン」
アニスがぽつりとつぶやくように出た名。その名の意味がわからないルークが首を傾げると、フローリアンは無垢な者と言う意味だとジェイドが教える。
「フローリアン、また来るから」
「イオン様、よろしくお願いします」
フローリアンのことはイオンに任せ、私たちは次なる目的地であるラジエイトゲートに向かった。