54話 彼の者に流れる哀歌
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「アッシュの奴……なんかおまえに優しくなったな」
「そうかなぁ」
以前のような罵声を浴びせたり、嫌味のようなことを言わなくなった。あと、空気が変わった気がする。
「……でも何故でしょう。彼……哀しそうですわ」
アッシュの去っていった方を見つめるナタリア。彼女だから微々たる変化に気付くのか。彼の細かな気持ちまでは私はわからない。
「ねぇ、みんな。この子……ダアトに連れて行ったら駄目かな。この子……どこにも行き場がないんだと思う」
ポツンと置いてきぼりを食らっているレプリカイオンの側に寄るアニス。自分のことというのがわかっていないのか首を傾げる。
「うん、イオン様なら保護してくれると思うよ」
「……そうだな。わかった。ダアトへ送っていこう」
アニスはレプリカイオンの手を取り、私たちと一緒に行こ、と出口へと歩き出す。その後を追う私たち。
「真咲の知る未来だと、どうなるんだ?」
「……イオン様は亡くなってるから、トリトハイム詠師が保護してくれるよ」
イオンの死はあまり口にしたくはなかったけど、誰も気にしてないのか何のリアクションはない。
「ここのは……私が知るのとは変わってるからなんともいえないけど、ダアトで大丈夫だよ」
どちらにしてもダアト以外連れていける場所はないだろうし。事情を説明すればマルクト、キムラスカでも平気だろうけど。
「イオンに任せるのがいいのかもな」
「そうですわね」
同じレプリカというのもあるし、彼ならば間違いのない判断をしてくれるだろう。アルビオールに乗ったときの彼の驚き方はなんとも微笑ましいものだった。アニスがシートベルトを付けて上げたりと世話している姿もまた可愛らしくてつい口元が緩んだのは彼女には内緒だ。