54話 彼の者に流れる哀歌
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「……じょ、冗談じゃねぇ!今の力は一体……」
「ローレライだ……ヴァンが体内に封じたローレライの力を制御しきれずに……」
そこで言葉を止める。凄まじい力を目の当たりにし全員が驚愕を露わにしている。私も画面越しで知らなかったそれを自らの目で確認すると、恐怖が体を走った。どれだけの力を持っているのだろうと。
「閣下!ローレライは……!?」
「大事ない。もう……抑え込んだ」
まだ肩で息をしているヴァン。抑え込むだけでもかなりの体力を使うようだ。
「ですがここはお体のため、エルドラントへ戻りましょう!」
リグレットがヴァンの体を気遣う。チラリとシンクへと視線を向ければシンクは口笛で魔物を呼び寄せた。鳥型の魔物は三人の頭上に寄る。
「全ての屍を踏み越え我が元へたどり着け。アッシュ、そしてルークよ。その時、今一度おまえたちに問いかけよう」
魔物の足に手を掛けてルークとアッシュへと振り返る。
「兄さん、待って!!」
「メシュティアリカ……次に会うときはおまえとて容赦はせぬ」
ティアが駆け寄るが、ヴァンは魔物に掴まってそのまま飛び去っていった。その姿が見えなくなるまでティアは空を見上げていた。
「これでローレライの鍵がどこにあるのか奴らに知られたって訳か。気をつけろ。ヴァンは……それを全力で奪いに来る」
剣の在処は元々知られていたが、ずっと不明だった宝珠の在処まで知られてしまった。そしてローレライを制御するために姿を消していたヴァンも確認できた。ローレライに繋がる全てが揃い、露見される形となった。
「ローレライを音符帯に解放すれば、ヴァン師匠はローレライを消滅させる機会を永遠に失い、世界には第七音素も預言も星の記憶も残ってしまう」
確認するかのようにルークが口にするとアッシュは頷き、プラネットストームを停止にしたら会いに来るから宝珠を奪われるなと言って去っていった。