53話 今、ここから始めよう
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「……だが、それすらも出来ぬ者もいたというのだな」
ラルゴの目はルークから私へと移る。諦めていたところに視線を向けられて私自身驚きを隠しきれない。
「出来るものならやってみろ……だが、生半可な思いでは……あいつは……倒せぬぞ」
ラルゴは傷だらけの引きずりながらゆっくりと歩き出した。向かう方向は出口。
「ラルゴ!?」
「……おまえたちが勝つか、ヴァンが勝つか……見守らせてもらおう……」
一度足を止めて振り返ることなく、それだけを言って去ろうとするラルゴに駆け寄る一人。
「ヒール」
手を翳し治癒術を施せす。手当をすればどうなるかなんて考えていない。勝負は決している。ラルゴほどの人物ならそこは重んじるだろう。
「せめて、怪我だけでも……」
彼女の思いが届くか否か。ううん、届かないわけがない。
「……メリル……大きく、強くなったな……」
ポンと、ナタリアの頭に手を置いて、今度こそラルゴは去っていった。まだぎごちないけど、きっと大丈夫。
「よし!奥に進もう!」
ルークの掛け声にみんな力強く頷き、最深部へと歩き出す。私はラルゴの去っていった方向に頭を深々と下げる。
「さあ、私たちも行きますよ」
「はい」
ルークたちを追うために踵を返すと、ジェイドが手を差し出して待っていた。その手を取り、私たちも歩き出す。
「生意気言って、なんかすみません。みんなも不快に思いましたよね?」
「でも、そのあなたの言葉がラルゴを変えました。少なくともナタリアは感謝してるのでは?」
そうだといいな。未だ安堵と不安が入り交じった心のまま最深部へと向かった。
人はわかり合える
思いの先が同じならば
そして、これから始まる
時を掛けたその関係が…