53話 今、ここから始めよう
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「だから、人がいつ死ぬかなんて誰も知らない。一年後、一ヶ月後……一分後に死ぬかもしれない。でも、そんなの誰一人知らない。なのに死の預言を詠まないから親しい人が死んでしまった。星の記憶があるから世界が滅亡する」
そこで言葉を止め目を閉じる。数秒してから目を開け再びラルゴを見る。
「そんなのおかしすぎて笑えない」
自分でどんな表情をしてるのかわからない。無表情かもしれない。顔と言葉のどちらに驚いているのかわからない。
「私の世界じゃ世界が滅亡するとわかっていても誰も知らない!自分たちだけが不幸だと哀れだと狂ってるなんて言う資格なんて誰一人無いっ!」
人はいつしか死ぬ。それはどんな世界でも変わらない。遅いか早いかも人によって違う。
「ラルゴたちがしてることは傲慢。だけど、心が贅沢だからできるんだよ……」
鼻がツンっとしてくる。泣くわけにはいかない。泣いたからどうなるでもない。
「真咲。もういいよ」
「……ルーク」
そっと私の方に手を置くルーク。微笑んでくれたことに気が緩みそうになる。
「ラルゴ……俺たちは同じように預言から離れようとしてるんじゃないのか?どうして殺し合わなきゃならないんだ?」
目的は同じなのに、なぜ刃を交えるか。共に歩めないのか。そんな疑問を投げつける。
「同じじゃないんだよ……いいか……坊主。これはお互いの信念をかけた戦いなのだ」
「信念をかけた戦い……」
彼の言いたいことはわかる。失ったものは個々で違う。感じるものも思うものも同じく違う。
「我々は……この世界は滅び……生まれ変わるべきだと……考えた。おまえたちは……もう一度やり直すべきだと……考えた……結果は同じでも……違うのだ」
やはり、私の陳腐な言葉なんて届きはしないか。アリエッタが理解してくれたことで高を括っていたのかもしれない、上手く行くと。