53話 今、ここから始めよう
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「……見事だ」
ナタリアの秘奥技を喰らってラルゴは一言呟いた。が、ここで終わりじゃない。
「一緒に逝って貰おう!!」
「地を喰らいしものどもよ!我が声を聞き我が命に応え彼の者の動きを封じよっ!」
最後の力を振り絞って立ち上がったラルゴがルークに向かって大鎌を振り下ろそうと瞬間。私は素早く言葉を紡ぎ地に杖を突く。さすればラルゴの足下にヒビが入りそこから盛り上がった土がラルゴの足下から体へと這い上がり動きを封じる。
「ぐっ!?」
「悪いけどルークを殺されるわけにも……あなたも死なせる訳にはいかない」
知っている私だから出来る事。それが正しい選択はなんか知らないし知ったこっちゃない。後悔は後でする。今出来るのにやらないでいて後悔するよりはやれることをやってからの後悔の方がいい。
「ナタリアも弓を下ろして。大丈夫だから」
涙目で弓を引いていたナタリアへと視線を向ける。私が微笑めばナタリアは力が抜けたように弓と矢を下ろした。
「どういうつもりだ」
「うーん、ラルゴやヴァンたちって結構馬鹿なんだなって言ってやりたくて」
私の意図が掴めないラルゴが睨みつけてくる。けど、私の返答は予想してなかったものだったのか、目を丸くして口まで開いている。
「だって、誰よりも預言に囚われすぎなんだもん」
私の言葉はラルゴだけじゃなくみんなからも非難を浴びるかもしれない。
「私の世界では預言がないのは知ってるよね?」
私の問いに返事はない。それは肯定だと取ってラルゴの前まで足を進める。
「あるのは精々占い程度。当たる人は当たるって言うけどやっぱり絶対じゃない」
私の言葉にみんな無言で聞いている。多少緊張した空気を感じるのは仕方ない。私は預言になる気はない……それしか言ったことがないのだから。