53話 今、ここから始めよう
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「ではルーク。おまえはどうだ?私はおまえを過小評価していたようだ。おまえにも見るべき点がある。私と来るのならばティアやガイ同様、おまえも迎え入れてやろう」
顔は笑みを浮かべているのに、目の奥は笑っていない。ルークはぐっと奥歯を噛み、名が出たティアとガイは肩を震わす。
「……俺は……お断りします」
「フ……そうでなくてはな」
何かに言い掛け、堪えるような表情を浮かべそう言った。意味ありげに笑ったヴァンはリグレットと共に消えていった。それを追いかけようとしたルークをラルゴが再び止めに入る。
「アッシュ!師匠を」
ラルゴがルークへと向き直ったのを見て、すぐアッシュに後を追うように促す。アッシュは表情を歪めながらも、ヴァンの後を追った。そしてルークと対峙するラルゴにナタリアが弓を引く。
「……ラルゴ。武器を収めませんか」
正体を知ってしまった以上、以前のような態度は取れない。ここで互いに武器を収められればそれに越したことはないのだろう。
「……この世界は腐っている」
「そんなことはありません……」
武器を下ろすことなく、呟くように言う。ナタリアが否定するが、ラルゴの表情は険しい。
「寝ても覚めても、預言預言。そのためにどれだけの命が見殺しにされてきたか」
「あなたたちがやろうとしていることも結局は同じですわ!」
預言しか知らない世界で生きてきたからか、預言があろうとなかろうと人はいつしか死ぬというのに。そんな彼らを見ると私の生きていた世界へ連れて行きたいと思ってしまう。
「そうだ。ヴァンの……俺たちの計画はネジがとんでいるからな。だが、それほどの劇薬でもなければ世界はユリアの預言通り……滅亡する。被験者が残っているかぎり星の記憶の残滓も残るのだからな」
それが正しいと思っているから、考えを覆すことはないだろう。でも、何とかして覆せないかと考えてしまう。いや、そのために私はここにいるのだ。