53話 今、ここから始めよう
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「まったく、ルークも困ったものですね」
「そこが可愛いんですよ。それに……ルークはわかってますよ」
ハッキリと言わないわからないだけで、ちゃんと心の奥ではわかってる。わかってるから言葉に出来ない。
「今ならティアの気持ちがわかりますね」
「ティアの、ですか?」
ジェイドの言葉に思わず首を傾げる。ティアに限らず誰かの気持ちが分かるなんて言うから。
「想う相手がいつ消えてしまうかわからない辛さならわかりますよ」
そう言うことか。ジェイドが私に告白してくれた時、私は一命を取り留めただけでいつ消えてもおかしくはない体だった。ルーチェが死なないと言ってくれたけど正直不安はあった。それはジェイドも同じだったようで。
「なら私はルークの気持ちがわかりますよ。自分はいなくなってしまうかもしれないのに、想いを伝えるなんて出来ないって」
残される人のことを考えるなら想いが通じ合う前に忘れてもらいたい。それは無駄なんだって自分にも言い聞かせて。だからその手を取らなかった。本当は側にいて欲しくて触れて欲しかったのに、自ら手放す道を選んだ。
「不器用な二人だから幸せになってもらいたいな」
本音を言うならば。このままシナリオ通りの結末を迎えさせるつもりはない。そしてこの後のことも。どこまで出来るかなんてわからないけど。
「出来る限りの協力はしますよ」
あなたが望むままに、と軽く肩を抱き寄せられる。抱き締めるまではいなかないのは一応周りに人がいるから気を遣ってだろう。それでも恥ずかしいけど。
「その為にも先ずは目先のことからこなさないと」
「無茶は厳禁ですよ」
それに関しては返す言葉がない。致し方ないと思ってくれると助かるけど。過去に無茶をしすぎたせいかその辺りの信用はないんだよね。自業自得なんだけど。