「今の話が本当なら、星の記憶がある限り、俺たちの選ぶ未来はどれもたった一つの結末にしかたどり着かないってのか……」



ラルゴが去って暫くしてガイが口を開く。彼の言葉はみんなには衝撃なものだっただろう。



「だから兄さんは被験者を消そうとしている？星の記憶を持たない新しい『レプリカ』という人類に未来を託すために……」
「……だとしても！だとしても結局被験者は消滅するんだよ？総長の計画じゃ、この世界の人は救われない」



みんな混乱している。自分たちがしていることが無意味だったのでは、ヴァンの計画通りに進めても滅亡は変わらないのではと。



「まあまあ、落ち着いて下さい。今一番混乱しているのは彼女の筈ですよ」



新生ローレライ教団の使者が来たとかと思えばその使者が実の父親だった。そして預言の驚異を改めて認識させられれば思考がついて行かなくても致し方ない。



「ナタリア……一度城に戻ろうぜ。陛下が心配してるよ」



ルークがナタリアの側に寄り声を掛ける。無言のままゆっくりと城へと歩き出す。



「私は……それでも自分で選んだ道ならいい。たとえ後悔しても」



後悔しない人生はない。私なんか後悔しっぱなしだ。同じ未来でも人に預言に促されて選ぶより、自らの意志で決めたならそれは星の記憶なんかじゃない。私はそう信じてる。



「……真咲」
「結局、どう捉えるかは自分自身だって事だよ」



私は導きの標として何が出来るのかわからない。でも何もしないのはもう嫌だ。そんなのは、アクゼリュスで十分だ。



「と言う訳で、ジェイドさん。あの件、いいですよね？」
「仕方ありませんねぇ。時間や状況を見てですよ」



私とジェイドのやり取りの意味のわからないみんなは首を傾げる。今はそれでいい。まあ、行くときはちゃんと言って行くつもりだし、うん。