52話 暗雲を晴らすが為に
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「シルヴィアは体が弱かった。だが預言士が、二人の間に必ず子供が生まれる、いや生まねばならぬと言ってな。それがこの結果を導くためだと知って、俺はバチカルを捨てた」
放浪をしているときにヴァンに拾われたと。『預言は星の記憶』、星は消滅するまでのあらゆる記憶を内包して、全ての命は定められた記憶通りに動いている。預言はその一端を人の言葉に訳しているだけなのだと。ラルゴは語る。
「ならば、シルヴィアのむごい死も定められていたと?俺は預言を――いや星の記憶を憎んだよ」
ラルゴはナタリアへと向き直る。
「……確かにむごい話ですわ。でも預言は絶対ではない筈です。あれは未来の選択肢の一つにすぎないのではありませんか?」
「しかしそうして選んだ道も、選ばなかった道も、結局は同じ場所にたどり着くよくにできているのなら、そこに人の意志が働く意味はあるのか?」
預言はあくまで可能性の一つ。でもその可能性の行き着く先が同じならば、結末は同じ。自らの意志で選ぼうが運命は変えられないと言いたいのだろう。
「おまえたちが預言を禁じようとも、この星は自ら未来の記憶を保持し、その通りに進んでいる。ヴァンが目指す預言の消滅とはすなわちローレライ――星の記憶そのものを消し去ること」
あらゆる命が自由な未来を生み出す権利を得ることなのだ。その理想を信じ、ヴァンと共に行動することに決めた。忘れるな。おまえたちのやり方は手ぬるいのだよ。そう話を終えてラルゴは立ち去ろうとするがそれをナタリアが止める。
「ナタリア姫。私の最愛の娘はもうこの世にはいないのだ。十八年前に奪われてな」
ここでナタリアをメリルとして見てしまったらラルゴは彼女とは戦えない。いや、この計画に手を出せなくなるかもしれない。ナタリアが知らないままだからこそ、もあるだろう。全ては私の憶測。人の心など簡単には知ることは出来ないのだから。