52話 暗雲を晴らすが為に
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「お父様、どうしましたの」
唯一呼ばれた理由がわからないナタリアが口を開く。
「おまえに話があるのだ。おまえの実の両親のことでな」
前にもその話が出た。そのせいで一度は二人の親子関係が壊れ掛けたが、これがきっかけで更に深まるものとなった。
「……確か私の本当の母はばあやの娘なのでしたわね」
「そう、シルヴィアだ。しかし父親のことは知るまい?」
今までその話は出たことがなかった。父親、という言葉が出るとこの場に緊張が走る。その話がどうしたのだという風なナタリアはこの雰囲気には気付かず、詳しい話を聞く前に、ばあやは城を出てしまったと残念そうな顔をする。
「おまえの父親はバダックという名の傭兵だったようだ」
「……傭兵……そうですの。でも何故今になって……」
ナタリアの指摘は最もだ。母親の時には一切出なかったのだから。インゴベルト陛下が、行方が判明したというと、ナタリアは生きていらっしゃいますの?と驚きを露わにする。
「そうだ。ナタリア。気を強く持って聞いて欲しい。この事態だからこそ、おまえには父のことを話さぬとならぬと思ったのだ」
ナタリアには両親について酷な真実ばかりが付きまとう。ただ彼女ならそれを乗り越えられると、信じたからこそ伝えるのだろう。
「バダックは今、新生ローレライ教団にいる」
「そんな!?何故!?何かの間違いでは!?」
信じたくはないだろう。実の母は既に亡くなっていて、今度は実の父親が新生ローレライ教団にいると聞かされれば、誰であろうと信じられないはず。
「……いや間違いない。ルークが調べてくれた。現在では黒獅子ラルゴと名乗っている」
まさかさっき会ったラルゴが父親だとは思うまい。ナタリアが顔色を悪くして、ルークに詰め寄るがルークは、本当なんだ。本人にも確認したと首を横に振ると、ナタリアは外へと駆け出して行ってしまった。