52話 暗雲を晴らすが為に
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「どうかな。おまえたちも知っているだろう。第七譜石には滅亡の預言が含まれていることを」
「俺たちは生き残る未来を選び取ってみせる。世界を滅ぼさせたりはしない」
預言通りならばいずれは世界は滅ぶというのに、ヴァンたちはこんな手段で、自分たちの手で壊そうとしている。
「それはこちらとて同じだ」
「同じではありませんわ!あなたは預言に固執するモースに味方しているではありませんか!それはあなた方の理屈で言えば、滅亡に向かって歩いてのではないのですか!」
ナタリアに言われるのは気持ち的に複雑だろう。私たちやインゴベルト陛下は知っている。この二人が実の親子だということを。
「私にとって剣を捧げた主はただ一人。それを忘れるな」
そう言い残して退室しようとするラルゴの前に私は歩み出る。すると彼は立ち止まり私を見下ろす。
「私は、更に違う未来を求めるよ」
だからあなたたちの思うとおりにはしない。真っ直ぐにラルゴを見つめて言う。そうだ。私は預言通りにも物語通りにでも終わらせるつもりはない。その為にやらねばならないことがある。
「導きの標、か。やれるものならやってみるといい」
立ち去るラルゴを見送る。後ろでは私には構わず会話が続けられていた。
「もはや新生ローレライ教団との戦いは避けることができまい。後ほどナタリアと共に、わしの部屋へと来てくれ。今こそ心を強くもち、真実を告げる時だと思う」
時に残酷なものかもしれない。でも、いつまでも知らぬままでいるわけにもいかない。インゴベルト陛下の心痛な思いにルークは悲しそうに顔を歪める。ただ一人、ナタリアだけが何のことだかわからず首を傾げる。
「また顔に出てますよ」
そこはスルーしてくれればいいのに。はぁ、と息を吐いて謁見の間を後にし陛下の私室へと足を急がせた。