「みんなでずらずら来ると、俺がきみたいじゃねぇか！外、出てくれよ」



ベルケンドに着いてすぐにルークは検査を受けた。結果を知っている私はジェイドの背中から眺めていた。



「何言ってんだ。みんな心配してるんだぞ」
「いいからっ！」



全員で話を聞こうとするがルークがそれを拒む。完全に拒否をするルークにみんな肩を竦め、宿で待ってるね、と医務室を後にした。



「表情が暗いですよ」



それだとみんなにバレてしまいますよ。と肩に手を置かれる。だから最後尾を歩いてたんだけど、と言うわけにもいかない。私の考えていることはたぶんわかっているだろう。



「……だって」



まるで子供のような返事。頭では理解していても心は簡単じゃなくて。でも、その痛みを感じるのは私だけじゃない。私以上に、辛いと思ってるのはルークと……この後、知ってしまうティアだ。



「ジェイドさんには、検査の結果がわかってるんですよね？」



わからないわけがない。ルークが超振動を使って瘴気を消せばどうなるかを説明したのは彼なのだから。いくら、アッシュの力を借りたとはいえ、それに変わりはない。



「わかってますよ。あと、ルークがそれを誰にも言わないことも」
「……そう、ですか」



ルークの性格をわかっているなら正直に言わないのは理解できるか。誰よりも死を恐れているあの子が長くは生きられないと知ったらきっと、言わない。みんなに知られ、気を遣われることも嫌がっている。




「真咲？」
「あとで、ルーク抱きしめても怒らないで下さいね？」



視線だけを向けて何も言わない私をおかしいと思ったのか私の名を呼ぶ。私の思いもしないお願いにジェイドは目を丸くする。釘を刺しておかなきゃと思い発した言葉に、ジェイドは眉根を寄せて眼鏡の位置を直す。そんなに難しいことを言ったつもりはないんだけど。