52話 暗雲を晴らすが為に
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暗き闇を晴らすが為
あなたは命を懸ける
全ては世界の為に
何かと引き替えにしようとも
「アッシュはまだ来てないのか……」
再びレムの塔の最上階へと戻ると多くのレプリカたちの姿はあるがアッシュの姿はなかった。辺りに視線を巡らせると、奥にマリィの姿があった。その膝の上にはすでに瀕死だと思われるレプリカが。
「この人は……」
「……北の街で人々に追われ、奴隷のように扱われながらようやくこの塔に辿り着いた同士だ……何故おまえが来たのだ?我らと共に死に至る道を進むのはおまえか」
ティアが側に寄るがもう手の施しようがないと悟ったか、目を細めた。マリィは感情のない目でルークを見上げる。死に至る……その言葉に私たちは表情を歪める。
「では、あなた方は瘴気を消すために命を差し出すつもりなんですの?」
「……それしかない。そう悟った。いや、そう決めたのだ」
一体どんな気持ちなのだろう。私がしてきたつもりだった誰かの為は彼女たちの仲間の為には遠く及ばない。
「あなた方は、その人のように被験者たちから排除されようとしている」
それでも、あなたたちは被験者のために消えるんですか。ガイとしては目の前でまた姉を失うところを見たくないだろう。その辛さは私には理解してあげられない。
「……被験者の為ではない。まだこの塔に辿り着いていない多くの仲間たちが、住む場所を見つけるためだ。我らは我らの屍で国を作る。おまえたちも我らの死を求めているではないのか?」
マリィは真っ直ぐルークを見て言う。彼女の意志は固いものだろう。いや、彼女たちだけではない。ここにいるレプリカたちは全員その意志を持ってここにいる。それを感じたのだろう、ルークの瞳が揺れる。決心が、揺らいでるんだ。