51話 それでも私は両手を広げよう
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「皮肉なものだな……レムの塔はかつてキュビ半島にあった鉱山都市の中心に立てられたもの。もしもルークが成功すればユリアの預言は成就するかもしれぬ……」
小さく息を吐いてそう言ったテオドーロに全員が一斉に視線を向ける。
「ND2018、ローレライの力を継ぐ若者、人々を引き連れて鉱山の街へと向かう」
「そこで若者は力を災いとし、キムラスカの武器となって街と共に消滅す……?」
ジェイドの言葉を引き継ぐようにアニスもユリアの預言を口にする。
「ヴァンは言ってたよな。ユリアの預言は歪みを物ともしないって……」
「……やめて!」
世界を蝕むのは何か。人の傲慢さなのかユリアの預言なのか。ルークの死を決定事項と取れるような皆の言葉にティアが両耳を塞ぐ。
「おまえが瘴気を消してくれれば、我々の会議は全ての議題に結論を出したことになる。瘴気以外の問題……三国同盟の締結、プラネットストーム停止、エルドラントへの共同進軍の三点は、全て合意に達した」
これで会議は終了。解決方法が見いだせなかった瘴気についてはルークとレプリカたちの命とで消すことが出来る。前みたいに押さえるではない。
「しかしそれだからといって急ぐことはないぞ。やり残したことがあるならそれをやるのもいい。或いは……お前が逃げたところで、我らはおまえを捜したりはせぬ」
世界中の人間を守るためにこの世界に生きるレプリカの命を差し出さなくてはいけない。どんな理由でも非道で道徳的ではない。ルーク一人に責任は負わせられない。ルークがやらなければアッシュがやるのだろうけど。
「ごめんね、ルーク」
「真咲?」
不甲斐ない自分に何度となく嫌気がさす。何も出来ない自分に腹も立つ。今私に出来るのはこれから全てを賭けるルークを抱きしめてあげることだけ。