51話 それでも私は両手を広げよう
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「……ってぇ……」
腫れた頬を押さえるルーク。まだ尻餅を着いたままのルークを睨みつけるガイ。
「……死ねば、殴られる感触も味わえない。いい加減に馬鹿なことを考えるのはやめろ」
殴られたルークより殴ったガイの方が辛そうな表情を浮かべる。それだけルークが大事なのだろう。瘴気なんか放っておけなんて言ってしまうくらいなのだから、彼を失いたくないという気持ちは誰よりも強いのだろう。
「……ガイ………ごめん」
「ルーク……」
ゆっくりと立ち上がるルーク。その瞳は決意に満ちていて、迷いはない。それを察してしまったのだろう。ガイは少し泣きそうに顔を歪めながら、俯いてしまった。
「もう、決めたんだ。怖いけど……だけど……決めたんだ」
そんなガイを真っ直ぐ見つめて言うルーク。ハッキリとまではいかないけど、もう瞳は揺れていない。
「ルーク!あなたという人は……」
「……ルーク。消えちゃうの?」
ルークの決意に他のみんなの方が辛い表情を浮かべる。悲痛を口にするアニスの声の方が消えそうだ。
「私は元よりルークの意思を尊重するつもりだよ」
「あなたが本気で決心したなら、私は止めません。ただしレムの塔に向かう前に陛下たちへの報告だけはしておきましょう」
私に限ってはこの後のことも知っているからそういう言い方しかできない。止めて欲しいと思っても、代わりの策が思いつかない以上は……仕方ない。言いたくはないけど、今はシナリオ通りに進めるしかない。ただ行く前にピオニーたちへ報告はしようと言えば、わかったと頷いた。
「みんな……ごめん……」
死を選んだことなのへかみんなの心配を無碍にしたことにか、ルークは俯いて呟くように謝罪をした。