51話 それでも私は両手を広げよう
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「だったら……だったら俺が!俺が代わりに消える!」
もう勢いだったのかもしれない。ルークがそう言ったのは。彼の言葉に全員が目を見開く。
「ルーク!?」
「馬鹿言うんじゃない!」
ルークが悩んでいたことはみんな知っている。引き止めた人だっている。先を知っている私はこれ以上何も言えない。
「代わりに消えるだと……!?ふざけるな!!」
ルークに突きつけていた剣を振りかぶり振り下ろす。ルークも防ぐために剣を抜き受け止める。が、二人の剣が交差した場所が光り、超振動が発生しかける。それに気付いた二人は後方へと飛び退く。
「やめなさい!消すのはダアトの街ではない。瘴気です!」
さすがに悪ふざけにも程がある。ジェイドが怒鳴るとアッシュはまた舌打ちして剣を鞘へと戻す。
「フン……いいか、俺はおまえに存在を喰われたんだ!だから俺がやる」
アッシュも強情だ。大人しく引くような性格はしてないのはわかってるけど。何を言っても今は何も届かないだろう。もう少し頭が柔らかかったよかったのに。生活環境が悪かったせいなのかな。
「アッシュ!本当に他に方法はありませんの?わたくしは……わたくしたちはあなたに生きていて欲しいのです!お願いですからやめて下さい!」
背を向けたアッシュへと近づき懇願する。特にナタリアはアッシュを誰よりも思うからこそ辛いだろう。誰かの犠牲の元で問題を解決なんてここにいる人は誰も望まない。
「俺だって、死にたい訳じゃねぇ……死ぬしかないんだよ」
顔を歪め、絞り出すように声を発する。そして、今度こそアッシュは足早に去っていった。
「駄目だ!あいつを失う訳にはいかない」
慌てて追いかけようとするルークの肩をガイが掴み、振り向かせてそのまま殴る。殴られたルークは呆然とし、ティアやナタリアは小さく悲鳴を上げた。