51話 それでも私は両手を広げよう
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「なにしやがる、真咲!」
「私が言ったこともう忘れたの?」
諦めるなと言ったはずなのに。具体的な内容は言ってないけど私が言ったのだから何か意味があると思ってくれたと私は信じてたのに。
「私が言うのもなんだけど、もう少しポジティブになろうよ」
逃がさないようにアッシュの頬を両手で挟む。いくらアッシュでも私を殴るようなことはない……と思うけど。
「……おまえはわかってるだろ」
「アッシュが考えてるものとは……違うよ」
言わないと決めていたけどアッシュの後ろ向き発言にも少々腹が立つ。ルークはいつも一緒だからいつでも説教できるけどアッシュはそうそう出来ないし。
「あまりふざけたことばかり言うと私、怒るよ?」
にっこりと微笑んでアッシュから離れる。そのままジェイドの隣に立つと、みんなの視線は私に向いたまま。アニス辺りの顔色が悪いけどまぁ気にしない。
「どうかしましたか?」
「……いえ」
ジェイドまで何か様子がおかしい。訊ねても教えてくれないしルークとアニスを見ると二人とも顔を逸らすし、何なの。
「……ちっ」
「アッシュ!待てよ!おまえを死なせる訳には……いや、死なせたくないんだ!!」
立ち去ろうとするアッシュをルークが肩を掴んで止めようとする。が、アッシュはそんなルークを突き飛ばし剣を抜いて突きつける。
「くどいっ!!」
その表情は苦悶に満ちていて、辛そうだった。私の言葉が届いていないのか。
「もう、これしか方法がねぇんだ!他の解決方法もないくせに勝手なことを言うんじゃねえよっ!」
そこまで追い詰められてたんだ。私も死と隣り合わせだった時期もあったけど、ここまでではなかったと思う。私以上に、死を恐れてるのかもしれない。