51話 それでも私は両手を広げよう
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「ガイやナタリア辺りには止められたでしょ?」
「うん。ガイなんかほっとけなんて言うんだぜ」
馬鹿だよなぁ、アイツ。とさっきより笑う。ガイもナタリアもみんな辛い。世界の未来をルークに託さなければならないのだから。
「ルーク。私が言うのも変だけど、未来はまだ決まってないよ」
ルークの手を両手で包む。気持ちが落ちているから、手は冷たかった。温めるように少し撫でる。
「私は一部だけど、私の知る未来と変えることが出来た」
チーグルの森のライガクイーン。アクゼリュスの住民。テオルの森のマルクト兵。フリングス将軍。イオンにアリエッタ。現在までに死するはずだった人々。助けてあげられなかった人もいた。全てを助けられるほどの力は私にはない。物語の進行としては変わっていないけどそれは『今は』かもしれない。
「ルークも生きたいと願って。死ぬために瘴気を消すなんて思わないで。みんなルークが大好きで生きていて欲しいんだから」
自ら諦めてしまえばそれまで。私は何度も諦めかけた。でも死にたくなくて、私なんかの為に泣いてくれる人がいる。愛する人がいる。まだ、死ねない。
「……真咲」
「信じる者は救われるんだよ」
笑ってあげればルークも笑い返してくれた。こんなんで恐怖が消えるなんて思わない。ただ、生を諦めないでいてくれればいい。
「なぁ、真咲」
「なあに?」
二人で並んで空を見上げていると名前を呼ばれる。にっこりと笑ったルークは、
「何か歌ってくれないか?」
と。随分聞いてない気がするからさ、と言う彼に迷いはしたけど頷いて頭に浮かぶメロディーを口にする。本当はね、私なりに瘴気のことは考えた。私とティアの体内にあった瘴気をどこかへと飛ばしたように出来ないかって。でも世界を覆うほどの瘴気を飛ばす場所なんて思い浮かばなくて、彼を助けられない自分を嘆いた。せめて、この歌で彼の気が休まるならば……