51話 それでも私は両手を広げよう
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「……真咲」
しばらく待っていると少し控えめに名前を呼ばれる。肩越しに振り返ると今にも泣きそうな表情のルークが立っていた。
「おいで」
ぽんぽんっと隣に座るように促す。困惑しながらもルークは頷いて私の隣に腰を下ろす。
「もうみんなとは話したの?」
「うん」
私が最後だったんだ。色んな事を言われただろう。殆どは止められたりルークが何を選んでも避難しないと言われた筈。ティアとジェイドは止めはしない。肯定もしたわけじゃないけど。
「私も陛下たちと一緒でルークの意志に任せるよ。まあ、私からは細かいことは言えないからね」
私は自身が預言になる気はない。それは何度も公言している。だから私は止める権利も促す権利もない。見守ると決めたから。でも、何とか出来ないかとは思っている。レプリカの力を借りて瘴気を中和する以外の方法はないからそれは変えられない。私が何とかしたいのはその後のこと。とはいえ第七音素も超振動も使えない私にはどうにもできない。
「……でも、俺……」
「決めてはいるんでしょ?」
怖いんだ。と呟くルークの頭をひと撫でする。命を懸けるのだから怖くないわけがない。特に人の命に敏感になってしまったルークだから尚更。自分が死ぬのも怖いけど、レプリカたちの命も奪わなければと思うとよけいに考えてしまうのだろう。
「ジェイドが、言ってた」
世界のために残すなら被験者だって。全体で見るならそうだろう。ジェイドなら世界のために個人の感情は切り捨てる。たぶん、私であっても。別の方法を考えてくれるだろうけどなければ。
「でも友達としては止めたいって」
小さく、小さく微笑む。ちょっと抱き締めたくなる衝動を抑えて、ルークを見つめる。