51話 それでも私は両手を広げよう
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「……大佐。まさか!」
「……俺か?ジェイド」
ジェイドの言葉に察したティアが目を見開く。表情を歪めたルークがそう、訊ねた。
「てめぇっ!アッシュの代わりにルークに死ねって言うのか!ふざけるな!」
「ガイ、やめて!」
怒りを露わにしてジェイドの胸倉を掴むガイ。私は二人の間に入り、ガイの手に触れる。激怒しているガイは小さく舌打ちをして手を離す。
「だめですわ!そのようなことは認めません!わたくしはルークにもアッシュにも生きていてもらいたいのです」
胸の前で手を組み、首を振りながらナタリアが説得する。どちらかの死など選べないという風に。
「私だってそうです。ただ、瘴気をどうするのか考えた時、もはや手の施しようもないことは事実ですから」
「……真咲。他に方法ないのぅ?」
複雑そうな表情を浮かべるジェイド。彼ですらそう言うのだが、私が未来を知っていることを知っているアニスが問う。藁にも縋る思いなのだろう。だけど、
「それは……」
「アニス。真咲を困らせてはいけません」
私は預言になるつもりはない。だから未来を話すつもりもない。それを知ってはいるけど、ルークもアッシュも失いたくない。その気持ちはわかる。
「俺は……」
「みんなやめて!そうやってルークを追いつめないで!ルークが自分自身に価値を求めてることを知っているでしょう!安易な選択をさせないで……」
何かを言おうとするルークを遮るようにティアが悲痛な叫びをあげる。
「失礼。確かにティアの言う通りですね」
「……少し、考えさせてくれ」
ルークに考える時間を与えるために、一度その場で解散した。私はジェイドからも離れ、教会の外へと移動する。入り口前の階段に腰掛け、彼が来るのを待っていた。