50話 時に残酷な願い
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「レプリカはいいな。簡単に死ぬって言えて」
簡単じゃない……そう言ってあげたい。でも、私が言っても意味がない。俺だって死にたくないがとルークが少し間を空けて言えば、アッシュも俺もまだ死ぬのはごめんだと屋敷から立ち去ろうとする。
「ま、待てよ!」
背を向けたアッシュを呼び止めるがアッシュは振り返らずその場に立ち止まって話は終わったとまた歩きだそうとする。するとルークは俺は終わってないとアッシュの肩を掴んで止める。
「は、放せっ!」
「つきあってやれよ、アッシュ」
本当なら一分一秒でも早く屋敷から出たいのだろう。でもさすがにガイに言われたからか、渋々ながらもわかったと頷く。ホッとしたルークはアッシュを連れてファブレ公爵夫妻の私室へと連れて行く。ノックをして部屋の中へと入ると夫人がアッシュを見て目を見開く。
「ルーク!……ルーク!?」
「……おまえは!」
公爵もまさか本物のルークが現れると思っていなかったのだろう、驚きを隠せないでいた。アッシュも何を言ってのかわからないのか、困惑の表情を浮かべる。
「……父上。母上。本物のルークを連れてきました」
アッシュの後方に控えていたルークが感情を殺したような声で、アッシュを紹介した。
「貴様!何を考えて……」
「俺たち、庭にいますから」
激怒するアッシュの言葉を遮ってルークは逃げるように夫妻の部屋から出て行った。私たちも後を追うように退室する。
「……あいつ」
「ある意味、いい機会だと思うよ」
ガイが少し怒ってるようだけど心配で仕方ないといった風にルークの背を見る。たまたまと言えばたまたま私たちはバチカルにいた。そこにアッシュが連絡を取ってきた。関係者はみんなルークがレプリカでアッシュが被験者だと知っている。こんな機会がなければアッシュは公爵夫妻に会おうとはしないだろう。