49話 世界よ一つに
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「おお!ナタリア!モースは一体どうしてしまったのだ?」
謁見の間に入ると私たちに気付いたインゴベルト陛下は一瞬笑顔を浮かべたが、すぐに表情を戻す。先ほどのモースの演説は以前から彼を知るインゴベルト陛下としては驚きを隠せないのだろう。預言を誰よりも遵守する人物なのはわかっているだろうが、自ら新生ローレライ教団を設立するなどと言ったのだから。更に言うならば第七音素によって精神汚染されたモースがおかしいと思うのも当然かもしれない。
「わたくしたちもそれを調べております」
旅に出ていた私らなら何か知っていると思ったか。それだけでなく街の住民が騒いでいたことはインゴベルト陛下にも届いていただろう。
「とにかく、こちらとしては迂闊に逆らう訳には行かぬ。無論モースに従うつもりはないが、市民たちの預言への信頼は高い。王室がはねつけたところで暴動が起こる可能性もある」
素直に従うわけには行かないが下手な行動を取ればこのバチカルの住民だけではなく、キムラスカの住民が敵になるだろう。一国の王としてはタイミングを見極めねばならない。
「レプリカの件に関しても、陛下は頭を悩ませておいでです。難民として処理するにも数が多すぎ、街の治安が乱れております」
側に控えるアルバインが眉を寄せて今にも溜息を吐かんばりにそう言うと、インゴベルト陛下もこう言った。葬式の途中に現れて、大混乱の挙げ句死傷者が出たこと、食料が無尽蔵ではないこと。そして、レプリカには頭が痛いと言ったとき、ルークが悲しそうな泣きそうな表情を浮かべた。
「……おお、ルーク。おまえのことではないのだ。気に病むな」
フォローを入れるがルークの表情は変わらなかった。レプリカという存在はルークにとって自分と差して変わらぬ存在なのかもしれない。