49話 世界よ一つに
夢小説設定
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「まあ、あなた大丈夫ですの?」
ユリアシティの中に入ると膝を抱えて座り込んでいる人が目に入る。その人に誰よりも早く駆け寄る。ナタリアが顔を覗き込むも反応はない。
「さあ、こちらへ来なさい」
どうしたものかと首を傾げるナタリアたちの側にテオドーロの部下と思われる人物が二人現れた。そのうちの一人が座り込んでいた人の手を取って街の中へと連れて行った。
「今の人は……」
「レプリカだよ。どうもシェリダンから逃げてきたようだね」
その人物をジッと見つめていたもう一人がティアに気が付く。さっきの人物について聞ければ彼はレプリカだと答える。逃げてきたと聞いてルークがどうしてだと更に訊ねる。するとこのところそう言うことが多く、亡くなったはずの人間が記憶がない状態で現れたり葬式に現れたりしていると。
「レプリカが大量に作られたからですね」
「彼らは生きる術を知らないからね。魔物に襲われたり、店のものを勝手にとって憲兵に突き出された。酷い虐待を受けるレプリカも多い」
レプリカたちの現状を聞いてナタリアが、あんまりですわ!と口元に手を置き、ルークは誰よりも悲しい表情を浮かべた。
「フォミクリーで生物レプリカが作られたことも、だんだん知られてきたからね。中には自分の大切な人が死んだのは、レプリカが生まれたせいだって非難する人もいる」
本当にそういうケースもあるが、大概はぬれぎぬだからなぁ、と彼は首を横に振る。
「……でも生まれたばかりのレプリカには、何も言えない」
「そういうことだ。結局こちらで保護してやっているんだよ。もっとも魔物に襲われない土地なんてたかがしれていてね」
彼らには行き場所はない。でも食料も無尽蔵ではない。自分たちも困っているんだと言って彼も去っていった。それにどう返すことも出来なく、私たちは少しの間、立ち尽くしていた。