49話 世界よ一つに
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「……モースの精神汚染は始まっているようですね」
しばしの沈黙のあと、ジェイドが呟く。聞き慣れない言葉にルークが、精神汚染?と聞き返す。
「モースは第七音素の素養がないのに、体内にそれを取り込んでしまった」
「今モースの意識は、素養のない第七音素のために拒絶反応を起こしている。簡単に言うと理性が失われつつあるんですよ」
ティアとジェイドの説明になるほどと頷く。素養がない者が無理やり力を求めた結果があのモースの姿だ。あの姿を思い出してか、みんな表情を暗くする。
「でもあの男が、新生ローレライ教団などと馬鹿げたものを創ったのは、あの男自身の意志ですわ。預言への妄執も度が過ぎています」
預言とユリアの亡霊にでも取り憑かれているかのようだ。いや、取り憑かれてるからこそあんな風になってしまったのだ。
「イオン様が再生しようとしているローレライ教団が、あんな奴に潰されるなんて、許さない!」
「陛下に謁見しよう。ピオニー陛下もインゴベルト陛下も、モースに下るような人じゃない筈だ」
早く謁見の間へと私たちは足早に宮殿の中へと入った。さっきのモースの演説を聞いていたのだろう、兵士もメイドも皆、動揺を隠せないでいる。ヒソヒソと小声で何か話している内容に耳を澄ませば、預言や教団という言葉が聞こえる。全員が全員、預言撤廃に賛成したわけではない。アニスやガイに聞いた話だけど私がいない間に少し問題があったらしい。
「真咲。どうかしました?」
「いえ、何でもありません」
少々顔に出ていたのかジェイドに声を掛けられる。彼に関係あることだからけして口には出せないけど。預言を撤廃したピオニーを偽王と罵り暗殺しようとした者がいたとか。預言自体ではなくその名だけで世界を変えてしまうのかもしれない。まあその話でジェイドの普段見えない一面を教えてもらったのは彼には絶対に言えないけど。