48話 彼らの標の向く姿
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「……誰かいるわ」
奥に人の気配を感じたのかティアが立ち止まり、小声で歩くみんなを制する。耳を澄ませば気配のする方から声が聞こえる。
「その声は……!」
それが誰なのかすぐに察したのか、アニスが走り出す。私たちも追いかけるように走り出す。そこにいたのは、アリエッタだった。
「……アニス!」
ライガと共にいたアリエッタの目には涙が浮かんでいた。和解したとは言え、開いた溝はそんな簡単には埋まらない。アリエッタはアニスをキッと睨み付ける。
「アリエッタ。イオン様から何処かに行くって聞いてたけど、ここにいたんだ」
また喧嘩になっては元も子もない。先手を打つようにアリエッタへと声を掛ける。私が声を掛けたからか、アリエッタは顔の半分を持っていたぬいぐるみで隠す。
「……ここはアリエッアの大切な場所」
私が入ったことでか、少し間を空けてからそう告げた。物語上のように怒声ではなく、いつものような小声で。
「フェレス島が大切な場所だって?どういうことなんだ?」
一歩前へと出たガイが問う。今にも泣きそうに瞳を潤ませ、俯くアリエッタ。
「ここは……アリエッタが生まれた街だから。アリエッタの家族は、みなん洪水で死んじゃって、アリエッタのことはライガママたちが助けてくれたの」
ぽつりぽつりと話し始めるアリエッタ。それを私たちは黙って聞く。
「ずっと寂しかったけど、ある日ヴァン総長がきてアリエッタを仲間にしてくれたの。沈みかけてたフェレス島をこうやって浮き上らせて、アリエッタのための船にしてくれた」
ヴァンや六神将もここをベースにすると言って何度もやってきたと。この話にみなが顔を見合わせる。