46話 それが私の望みだから
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「ジェイド。さっきの瘴気と超振動のことだけど……」
スピノザの言葉をルークが気にしないわけがない。たぶんジェイドもわかっていたから話を逸らしたんだろう。
「……馬鹿なことです。忘れなさい」
みんなが先に行くのを確認してから、私は二人を見る。それで瘴気を中和できるならと、食い下がるルーク。過去がトラウマになっているからこそそうなってしまうんだろうな。
「お忘れですか?あなたはレプリカで、ろくに超振動を制御することもできない。下手をすれば、あなたが死にます」
「だったら、アッシュならできるんじゃないか?もしもロニール雪山にアッシュがいたら、頼んで……」
諦めないルークにジェイドが溜息を吐く。そして私の言い方が悪かったようですと、謝罪しルークを真っ直ぐ見る。
「被験者であろうと、惑星一つを覆うほどの瘴気を消滅させるような超振動は起こせません。何か力を増幅できるものがあるなら話は別ですが」
いくらルークでもこれで諦めるだろうと思ったんだろうがそうではなかった。例えば?と更に問うルークにジェイドは表情を険しくした。
「諦めが悪い人ですね……つまり超振動を使うことによる体の負担を軽減するものがあればいい」
はっきり言わないジェイドにそれが何なのかと怒りを露わにする。
「一つはローレライの剣です。あれならば第七音素を大量に自分の傍へ集められます」
「もう一つは?」
ジェイドの方が諦めたのか説明を続ける。
「大量の第七音素ですよ。そうですね……第七音譜術士、あるいはその素養がある人間を、ざっと一万人も殺せば何とかなるかも知れません」
唯一の希望と思っていた方法が一番残酷な方法だった。
「もちろん超振動を使う人間も、反動で音素の乖離を起こして死ぬでしょう。一万人の犠牲で瘴気は消える」
まあ、考え方によっては安いものかもしません。残酷な真実にルークの表情は一気に絶望な色に変わる。だから忘れたと言ったんですよ、とジェイドは歩き出した。