「……真咲……今のは……」



恐る恐る訪ねてくるイオン。ティアの身に何が起こったのか察したのか、ティアから視線を外せないでいるようだ。



「移動方陣で瘴気をどっかに飛ばしちゃいました」
「どっかって……」



てへっと可愛らしく笑ってみたけどそれはスルーされちゃった。そこより私の言葉の方に驚いたようだ。そこはそこで寂しいんだけど……って顔をすると後でジェイドにツッコまれるというか弄られるから気を付けなきゃ。



「自分で実験したら成功したから、ティアのも大丈夫だって思って」



そしてイオンへと向き直る。ティアを助けたい。そして彼も助けたかったから。



「これで……イオン様が自らの命を懸ける必要はありません」
「――っ!?」



さすがにこれには驚いたのか全員が一斉にイオンを見る。特にアニスのイオンを見る目は凄かった。驚きと怯え……複雑な感情を露わにしている。



「……やはり知っていたのですね」



私がここに現れたときからわかっていたかもしれない。でなければわざわざ私が暗記していた惑星預言を詠むことはないはずだし。



「はい。イオン様が惑星預言を詠んで自らを乖離させて、その時にティアの第七音素と引き合わせてティアの瘴気に汚染された第七音素を引き入れて……消えるつもりだったんですよね？」
「……その通りです」



たぶんイオンはモースがバチカルから脱走したと聞いたときから考えていたのかもしれない。またアニスが脅されるかもしれないことも察してたのかもしれないな。



「それとイオン様。気持ちはこういう場じゃなくて、ちゃんと二人のきりの時に言うものですよ？」



最後にそんな言葉を残しちゃいけない。アニスはいっぱい後悔して泣いて、ちゃんと真っ直ぐに前へと進める。とはいえ、大事な言葉は自分で、本人に伝えなきゃ。私も、そうだったから。