46話 それが私の望みだから
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「……逃げられてしまいましたね。仕方ありません」
わざとらしい溜息を吐くジェイド。これだけのレプリカを作り出したことに誰もが驚きを隠せないでいる。ヴァンが持っていたホドの住民の情報であれだけのレプリカを作り出したんだろうとガイが少し悲しげに口にする。あの中には実の姉であるマリーがいたのだから辛いのだろう。
「ティア、ちょっといい?」
「何かしら」
この後はダアトに戻る。けどその前にやっておきたいことがある。先程から暗い表情のイオンに私の言葉の意味を理解してもらいたいし、何よりティアにはもう辛い思いをさせたくない。
「そこに立って。これからティアの体内にある瘴気を消すから」
少し離れたところに立つように指示する。ティアやルークが目を丸くして、えっ!?と声を上げたけど今は放っておこう。まずはやるべき事をやらなくちゃ。
「真咲?どういう……」
「大丈夫、大丈夫」
言葉の意味を理解しがたいだろうけど、すでに私自身で実験済みだし。ティアやみんなから不安そうな視線を感じる。なんか信用ないなぁ。私の体内の瘴気だって消せてるのに。
「彼の者の身を冒す毒よ 彼の者より離れて消えよ――我が名は真咲 千里の力を継ぐ者なり!」
杖を振るい、瘴気が消えるイメージをする。世界を救うためにティアは瘴気に冒された。そしてイオンはティアから瘴気を消すために、幼い守護役のために命を散らそうとした。そんなのけして正しいとは思いたくない。青白い光がティアを覆い弾け飛ぶ。
「どうかな?」
自分の胸に手を当てて何度も瞬きをするティアに声を掛ける。
「……苦しくない」
ぽつり呟いた言葉に安堵する。ティアの方が瘴気に冒されてるから全く心配がなかったわけじゃない。これでまた一つ、命を散らせずにできたと思うと自然と笑みが零れた。