6話 消せない傷痕
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「――う、んっ」
瞼が重い。体もダルい。でも、温かい。重い瞼を持ち上げれば一面、『蒼』だった――なんで?
「おはようございます」
ふと疑問がよぎる中、頭上から声がする。視線を声のする方へ顔を向けてみれば、亜麻色の髪が目に入った。横向きになっていた体を正面に動かすと、私の顔を覗きん込んでいるジェイドの顔があった。そこでようやく私はジェイドに膝枕をされていることに気づいた。
「―――~っ!!」
驚愕な出来事に思わず声を上げそうになったが、ジェイドの手が素早く私の口を塞いだ。
「まだ、皆寝ています。静かに」
空いている手の人差し指を自身の口元に持って行き、しーっとした。なんで、そういうのが似合うのかなぁ。内心そう思いながら、もう大丈夫だと意思表示に首をコクコクと縦に動かす。手を放してもらい、ジェイドの膝から起き上がる。膝枕されていたことが恥ずかしくて、ジェイドの顔が見れない。
「大丈夫ですか?」
何のことだろう。昨夜のこと?それとも体調のこと?
「だい、じょうぶです」
何のことかは分からないが、とりあえずそう答えた。
「夕べはすみませんでした。お見苦しいところを見せてしまって――」
いくら泣いてもいいと言われたとはいえ、抱きついて泣いてしまったことを思い出した。きっと、顔は真っ赤だっただろう。ジェイドの前で赤面ばかりしている気がする。てか、赤面させられているかな。
「気にしなくてもいいですよ。泣くように言ったのは私ですしね」
優しい口調。こんなに優しい人だったっけ?
「でも、軍服も汚しちゃいましたし――」
どれくらい泣いていたかは分からない。でも、泣きつかれて眠ってしまったくらいだから、相当泣いたはずだ。
「汚れない軍服など意味がありませんよ」
それは、そうだけど。それでもなんだか悪い気がした。