44話 誰が為に鐘は鳴る?
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「そうだ。ジェイドさん、これ」
宮殿に向かう前に荷物から一通の封筒を取り出す。それを彼に手渡せば、訝しげな面もちで中身を取り出し読み始める。
「……これは」
「もう本当の意味で大丈夫です」
血中音素も瘴気も。何一つ不安要素のない健康体。それを記した書面を見てジェイドが目を見開く。
「血中音素はともかく、瘴気はどうしたんですか?」
「魔術です。私の術は言葉を具象化する力。それで消しました」
考えてみたら出来そうだったんでやってみましたよ。あ、因みに一人の時にやったわけじゃないですよ。と慌てて説明すると、勢いよく体を抱き寄せられる。自分の頬を私の髪にすり寄せて。
「大丈夫です」
もう断る理由なんてなくなった。自分の気持ちに嘘を吐くつもりなんてないけど。彼にも自分にも安心を与えたくて彼の背中に手を回す。
「では、行きましょうか」
体を離し、にこりと笑ったので釣られて私も笑えば、ジェイドはスッと体を屈めた。何だった思ったら、彼は私の首元をちゅう、と音を立てて吸った。言うまでもなく、私は真っ赤になって奇声を上げた。これからは気を付けようと心から誓った。
必然か偶然か、
変わるものと変わらぬもの
その未来は、
誰が為に…