44話 誰が為に鐘は鳴る?
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「カーティス大佐!?」
馬車から降りたフリングスを待っていたのはジェイド。それに驚きつつも、彼がいる意味を察したフリングスは出たばかりの馬車へと戻った。
「少将?」
彼の行動の意味もわからず、ただそれを見守る。
「戻って来ましたよ」
あなたの元に、と彼が抱き抱えていたのは一ヶ月前のあの日姿を消した真咲だった。まさかの事態に目を見開く。
「……真咲…」
フリングスから真咲を受け取り、眠る顔を見つめる。
「怪我は治癒しました。疲労で眠り続けているだけです」
もうしばらく休めば目を覚ますはずですよ。そう笑顔で言うとフリングスは宮殿の中へと入っていった。疲労、よく見れば顔は青白い。このまま自宅へと連れて帰ろうかとも思ったが、軍の医療施設へと連れて行った方が早いとフリングスの乗ってきた馬車と乗り込み行き先を伝える。
「悪いが部屋を一つ用意してくれ」
ジェイドの突然の言葉と腕の中の真咲に困惑しながらも医療兵は、どうぞ…と誰もいない部屋へと通す。真っ白い清潔なベッドにそっと寝かせる。グローブの外された白い手にそっと自身の唇を落とす。温かい、生きている。それだけで十分、と。はぁ…と深い息を吐く。
「……良かった」
出た言葉はただその一言。真咲が地核へと飛び降りた瞬間、血の気が引いた。一瞬にして体中の血が凍ってしまったかのように。戻ってくる、その言葉を信じようとした。その反面、全てを知る自分には何の相談はなく、代わりに事実を知っていたのはネフリーとイオンだった。
「それでも……」
こうして再び会えたことに感謝し、真咲の手を両手で強く握りしめた。