44話 誰が為に鐘は鳴る?
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「お呼びですか?」
カツカツと音を立てて謁見の間の奥へと歩いてくるジェイド。おう、と笑顔で返事をするピオニーにこめかみの辺りをピクッとさせる。
「色々忙しいんですよ、こっちは。で、何の用です?」
だからさっさと用件を言え、と。正直暇ではないのは確かだ。一年以上も空けていたのだから仕事は溜まってる。いくらジェイドと言えども一月そこらで終わるような量ではない。
「アスランから伝令があった」
フリングス少将から?と首を傾げる。彼は今はケセドニアにで演習中なはず。そんな彼が何の伝令を出すというのか。
「まずは演習中に正体不明の団体に襲われた」
「正体不明の団体?」
即座に異変に気づき対処したとの報告があったともピオニーは続けた。が、ジェイドはまずは、と言うことは?続きがあるのでしょうと話を促す。
「ああ。おまえを呼んだのはこっちが本題だからだ」
玉座から立ち上がり、ゆっくりとした動作でジェイドへと近づく。ぽんっと軽く肩に手を置き、
「アスランからおまえにだ……『道標』が現れた、と」
言葉の意味がわからず、訝しげな表情を浮かべる。まどろっこしい言い回しをしないで、はっきりと言えと言いたいのだろう。
「そろそろ戻ってくるはずだ。行ってみたらどうだ?」
したら俺の言いたいことがわかるぞ。と更に笑みを零す。彼の言いなりになるのは面白くないが、言葉の意味を気にならないわけではない。真意を確かめるために、ジェイドは踵を返した。
「今日はこのまま帰っていいぞ」
何を言い出すんだ、この皇帝はと思いながら、ポケットに手を突っ込んで謁見の間を後にした。向かうは宮殿の前。フリングスが戻ってくるのならまずピオニーに報告に来るから。意味は彼に聞けばいい。ただそれだけなのに、足は勝手に早くなっていった。