44話 誰が為に鐘は鳴る?
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「真咲さん!?」
地面へと倒れ込む前に真咲の体をフリングスが受け止める。顔を覗き込むと、顔中に汗を掻いているものの呼吸は規則正しいものだった。安堵の息を吐き、彼女の体を抱き上げる。
「将軍?」
「その方は……?」
意識のない真咲を連れて駐屯場へと戻ると訝しげな目で見られた。今回の演習にも女性の兵士もいる。だが真咲はマルクトの軍服を着ていないだけではなくこの場にいる兵士は誰も彼女のことを知らなかった。
「彼女はマルクト軍兵だ。誰か伝令を」
簡易ベッドに寝かせ、兵士を呼ぶ。
「どちらに?」
「陛下に……道標が戻った、と」
その意味のわからない兵士はただ、はぁと首を傾げつつ部屋を出ていく。他の兵士もベッドの側へと寄ってくる。
「何処の隊の者ですか?」
「彼女は真咲・霧島少佐。カーティス大佐の部下ですよ」
彼の言葉を聞いて、その場にいた者は皆驚いた。その名を知らぬ者はここにはいなかった。アクゼリュスの住民を救出した功労者の名を。
「ですが、彼女は何故ここに?」
その質問に言葉を飲む。事情はピオニーから聞いている。ただフリングスにも何故真咲がケセドニアにいたのかはわからない。
「……極秘任務中との事は聞いている。もしかしたら、この近くで任務中だったのかも知れないな」
事情を聞く前に真咲は意識を失ってしまった。だから推測でしか物は言えない。行方不明だったとは口が裂けても言えない。無理矢理起こしてでも理由を割らせなければならなくなるから。
「彼女は陛下への報告のついでにグランコクマへと連れて行きます」
体への負傷もだが、術の多様で疲労が激しい。ならば一度首都へと連れて帰り、休ませるが最善と。フリングスの提案に誰一人意見する者はいなかった。