44話 誰が為に鐘は鳴る?
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「はい。これも以前にも見られていたものですが……」
一枚紙を捲りジッとそこを見る。言葉を止めた彼の次の言葉を待つ。
「ティアさんほどではありませんが、真咲さんの体内にも蓄積されていた瘴気も、綺麗に消えていますね」
「本当ですか!?」
思わず立ち上がって大声をあげてしまった。これも信じられません。どんな方法で体内から瘴気を消したのですか?とシュウに問われたけど、どう答えるか迷った。けど、急な願いを承諾してくれた彼に嘘は吐けなかったので正直に話をした。もちろん、他言無用をお願いして。
「しかし、本当に驚かされました」
突拍子もない話に表情は心底驚いている。けど、私の話を信じてくれたことは心から嬉しいと思い感謝した。過去の経緯があったからだとしても、感謝しないわけがない。
「この検査結果は頂いていってもいいですか?」
「構いませんよ」
データは残ってますので。と言ってくれた彼に再度感謝し、荷物に検査結果が書かれた紙の束を締まった。シュウに礼を述べて、研究所を後にした。
「とりあえず一晩休んで、明日……ケセドニアに向かうかな」
さっきの検査結果を読み返す。内容が変わる訳じゃないけど、どうしても顔がにやけてしまう。もう、何一つ心配するものが無くなったのだから。旅に出た頃の事が嘘のよう。
「……あとは、やるだけ」
ケセドニアまで船で数日。まだ時間はあるから入念に準備に取りかかろう。これは絶対に失敗したくない。こんな事、誰も望んでいない。だから……もう少し、勝手をさせて下さい。逃げ続けるわけにはいかない。もしかしたら、何も言わずに地核へと飛び込んでしまったから、このままグランコクマに戻ったらきっとお仕置きと称して軟禁されそうだから、まだ帰らない。むしろ帰りたくない。