44話 誰が為に鐘は鳴る?
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「気を付けて下さい」
ベルケンドの前で降ろしてもらう。心配してくれて尚且つ、私の我が儘を聞いてくれた彼女には感謝しきれない。しかも二週間もお世話になっちゃったし。
「うん、ありがとう。アストンさんにもよろしくね」
「はい」
近いうちに再会することになるんだけど、それを言うわけにもいかない。まあ、私がちゃんとグランコクマに戻ったらの話なんだけど。シェリダンのほうへと飛んでいくアルビオールに手を振り、街の中へと入る。めざすは第一音機関研究所。
「すみません」
数回しか訪れたことはないけど慣れた様に研究所内の目的の場所へと足を進める。その部屋の主がいることを確認して声を掛ける。
「……あなたは」
最初は誰だという風に訝しげな表情を浮かべたけどすぐに誰だかわかったのか、あっと声を上げる。
「実はお願いがあって」
前にもやってもらった検査をお願いしたいんです、と事情を説明すると彼は突然なことにも関わらず快く頷いてくれた。すぐにでも大丈夫とのことで早速検査をしてもらった。
「お待たせしました」
検査後、しばらく待つとシュウは検査結果が書かれていると思われる紙の束を手に戻ってきた。
「検査結果ですが……大変驚かされました」
パラパラと紙を捲って、笑みを浮かべる。その意味がわからず、私は小さく首を傾げた。
「先ずは以前から経過を見ていた血中音素ですが……今回の検査では常人と全く変わらない数値が計測されました」
安定した数値。何一つ心配はいらないと彼は言った。最初にディストが調べた時の数値がまるで嘘のようだと、シュウは溜息にも似た息を吐く。
「他に、変わったことは?」
血中音素のことは多少なりとも気には掛けていた。前にローレライに関わったときに血中音素が回復した。もしかしたらとは思っていた。けど、今回は別の事の方が気になっていた。