6話 消せない傷痕
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「……はぁ」
いきなり知らない土地に来て、魔物や人に殺されそうになったり、不思議な力も手に入れた。
そして、その力で人を殺してしまった。ルーク同様、初めてだったはず。ただ、ルークと違うのは、誰にも悟られまいと感情を押し殺していたこと。ルークより十歳近く年上の真咲は泣くことを我慢した。
「(いつもの私なら、気づかない振りをして放っておくのですが、何故か放っておくことが出来なかった。真咲がこの世界に人間ではないから――?)」
はぁーっと再び深く溜息をつき、眼鏡に手を置く。
「それで、ガイはいつまで狸寝入りしているつもりですか?」
少し離れた場所で寝ていたガイに視線を向ければ、彼はバツが悪そうに頭の後ろを掻きながら起き上がる。
「いつから気づいてたんだ?」
「あなたが狸寝入りをし始めたときからです」
ジェイドがにっこりを微笑んでそう言うと、ガイは苦笑を浮かべる。
「初めっからかよ…」
ぼそりと呟き、立ち上がる。そのまま、ジェイドの傍まで寄ってきた。話し声で皆を起こさないために。
「こんなに目が腫れる程、泣くのを我慢していたのか――」
泣きすぎて、目が赤く腫れ上がった真咲の顔を見てガイは顔をしかめた。
「今日一日でいろいろありすぎましたからね」
苦笑を浮かべながら頬に掛かっていた髪を退かせると、首元が開いたインナーからシャラっと音を立てて何か見えた。
「ネックレス?…いや、指輪か」
それは鎖に通された銀色の指輪だった。
「(サイズからして真咲のものでしょう。しかし彼女の物なら何故、指に嵌めていないのいないのでしょう?)」
ジェイドはそんな疑問を感じつつ指輪を手にし、眉を顰めた。