43話 手を取る未来の為に
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怒られるとも、悲しませるとも
わかっている
でも……変えるために
これだけは
譲れない思い
「アッシュ」
明け方、まだ日が昇りきらない街の入り口に現れた赤毛の少年の名を呼ぶ。私が待ち伏せてたことにか、それとも傷のせいなのか顔を顰める。
「怪我、大丈夫?」
「――っ!?」
怪我のことを指摘されたことに驚くアッシュ。けど直ぐにそっぽを向いて舌打ちをする。第七音素が使えない私では癒してあげることはできない。
「おまえ……軍服は?」
開口一番はそれ。まさか軍服を聞いてくるとは思わなくて思わず目を丸くする。また悪態でも付くかと思ったのに。因みに今は前にティアにもらったジャケットを着ている。
「昨日、紅茶零しちゃって…」
今はクリーニング中なんだよって笑えばまた舌打ちされた。これは予想以上に機嫌が悪い。怪我をしてしまって今の自分ではヴァンが止めれないことが悔しいのかな。それを嫌悪するルークに託さなければならないのも、彼的には嫌なのだろう。
「大丈夫だよ」
ふと口にした言葉に、ハッとこちらに顔を向けるアッシュ。私の思惑を話すわけにはいかないけど、落ち込む彼を見て出た言葉だった。
「なんとかなるって思ってないと、眉間の皺が深くなるよ」
「なるか!」
自分の眉間にトントンっと人差し指を当てれば、即座にツッコむアッシュ。ツッコむために大声を上げたせいか傷に響いたらしく、腹部を押さえる。相変わらず不器用だなぁ。
「ヴァンの好きにはさせないよ。どんな手を使ってでも」
「おまえ……」
だから、アッシュにはアッシュの出きることをやって。ジャケットのポケットに入っていたアップルグミを一つ無理矢理手渡し、またねっと私はホテルの方へと踵を返した。彼の言葉を聞かないために。