42話 雪原で示す己が道
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「そう言えば、この指輪をしていた時より痩せましたね」
軍服のポケットから取り出したのは、随分前にバチカルでジェイドに預けた私の指輪。チェーンに通された、プラチナの指輪。
「あー、本当だ」
チェーンが通ったままでもその指輪は私の指に収まる。昔はちょっと太ってたしすぐに浮腫むからと少し大きめなのを買ってもらった覚えがある。
「交換してもらうことにしましょう。すみません」
ここまで違うとは思いませんでした。と頭を下げられてしまって。
「でも、嬉しかったです」
指には填められなかったけど、その気持ちだけが嬉しい。だから、泣きそうになる。私は、明日のヴァンとの決着の後、彼らの彼の前から消える。ずっとじゃないけど、黙っていなくなる。それでもこの意志を変えられない。
「もう暫く、お預けですね」
指輪のついていない左手を取って薬指にそっと唇を落とす。こういうのも様になるのだから怖い。今度グランコクマに戻ったら、サイズを変更しましょうね。と見せてくれる笑顔が辛かった。でも、私しかできないことをしたい。だから、はい。と答え、心ではごめんなさい、と謝罪した。
「明日に備えて夜更かしはいけませんね」
額、頬、唇の順にキスを落とされ、お休みなさいと言ってジェイドは部屋から出ていった。その後、私は泣き崩れた。
何度同じ言葉を呟いただろう
それでも揺るがない心
絶対あなたの元に戻るから
今日だけは、泣かせて……