42話 雪原で示す己が道
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「……はい」
決めたことを覆さない。出来る出来ないはともかく、失敗したときのことの想定もしてある。失敗させる気はないけど万が一のことも考えておかなければ。やることがやることなだけに。
「危険がないわけじゃない。でも死ぬつもりもない。私が知るものと違う道を進むために、どうしても、やりたいんです」
だから、その時が来るまで。そう言って、着ていた蒼い軍服を脱ぐ。簡単に畳んでひと撫でしてそれをネフリーへと差し出す。私なんかが誰かのための道標になれるとは思わない。けど、可能性は選択肢は増えるかも知れない。意味は違えども、この蒼は私にとって可能性の蒼だったから。
「これもピオニー陛下に返して下さい。勝手にいなくなる人間が軍の人間でいていい訳がない」
私の我が儘だから、二人のおかげで私は自分の現在の居場所がある。だからこれ以上は迷惑を掛けられない。だから、これは返さなきゃ。
「ですが、軍服を着ずに戻ったら却って怪しまれますよ」
「……はい」
そこが問題。でも、意志を変えるつもりはない。
「ではこうしましょう」
自身の紅茶の入ったカップを私の軍服へと零したのはネフリー。胸元の辺り一面が紅茶で染まっていき、部屋中に紅茶の香りがより広がった。
「ネフリーさん!?」
「私とお茶をしていて、うっかり零してしまった。クリーニングをする為に私が軍服を預かった、と言うことにしましょう」
とネフリーがにっこりと微笑む。さすがはジェイドの妹。言うが先に行動に移すなんて。
「それでお願いします」
彼女の機転に感謝しなくては。頭を下げて、私はネフリーの家を後にした。イオンも最後まで心配してくれて、ネフリーも私の意を汲んでくれたけど、これからも兄をお願いしますと逆に頭を下げられた。