42話 雪原で示す己が道
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「わざわざお越しして頂いて申し訳ありません」
訪ねると直ぐに知事室へと通された。先ほどまでアニスがいたからか、私が直ぐに来るとわかっていたからか、テーブルにはお茶が用意されていた。
「いえ、でもどうして?」
呼ばれる理由がよくわからない。勧められるままソファーに腰を下ろす。
「真咲さんは、お兄さんとお付き合いしてるんですよね?」
綺麗に微笑むネフリー。彼女が放った言葉に思わず固まる。
「は、はい~?」
い、いきなり何を言い出すのだろう。何でそんな話になったのか。そもそもそれをどこで知ったんだろう。
「えっと……どこでそれを……?」
「ピオニー様からお手紙を頂いたの」
マジか。あの皇帝陛下はどこまで楽しむのだろう。ジェイドが伝えたんじゃなくて、グランコクマからわざわざ手紙って。あとでジェイドに報告しておかないと。念のため。あははは、と乾いた笑いしか出ないでいると、クスリっと綺麗に微笑まれる。
「でもよかったわ」
ソファーに体を沈め、目を閉じるネフリー。何がだろうと首を傾げる。
「お兄さんのことは知っていますか?」
「……はい」
彼女の言う、知っているはたぶん、幼い頃からのことだろう。人の死、だけではなく生き物の死がわからない。死んだらフォミクリーで生き返らせればいい。そんな風に考え、尊敬する師までもレプリカとして蘇らせようとした。その過去を知っているか、ということ。
「それを知って尚、兄の側にいてくれるのね」
「それがあったから、かも知れませんよ」
彼の苦悩は知っている。当時は彼にとってそれが目的であり、夢であったはず。やり遂げることが当然の義務のように、研究に没頭していた。そしてそれが間違いだったと気付いた。今の彼があるのは過去があってのものだと私は思っている。