42話 雪原で示す己が道
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「……わからないわ。教官もみんなも、どうして兄さんの馬鹿な理想を信じるの」
ロニール雪山をあとにする途中、先ほど戦闘していた場所が見えるところに出る。雪崩が起こった箇所を見てティアがぽつりと呟く。
「それぞれ思惑があるんだろう。俺にはわかる気がする」
「ガイ……どうしてですの……」
目を少し伏せ、顔も下に向ける。わかる、その言葉にルークやナタリアが目を丸くした。
「俺はずっと、公爵たちに復讐する為、ヴァンと協力する約束をしていた。どこかで違う道を選んでいたら、俺は六神将側にいたかも知れない」
ヴァンの目指す世界の姿を知ってもか、と問うルークにガイはレプリカでも故郷や家族が復活するならそれもいい。と答える。その言葉に私とジェイド以外が目を見開き、ガイを見る。
「……と考えていたかも知れない。今だって、正直なところ何が正しいのかはわからないさ」
「……そうだよな。ガイは……故郷を失ったんだな」
敵国の公爵の手によって家族や使用人たちは殺され、国によって故郷は滅んだ。超振動を起こしたのは子供だったヴァンだけど、真実をもみ消したのは国だ。ヴァンの作ろうとしてしている世界はけして誰のためでもない。それがわかるからこそ、世界のために世界に住む人々のために私たちは動いている。六神将は世界を消滅させてまで叶えたい思いがある。それがヴァンの理想と一致しているのかもしれない。
「俺たちと師匠……目的は同じ人類の存続なのに、どうしてこんなに遠いんだろう」
「被験者を生かす世界と殺す世界。とても近くて遠いわね……」
二人の言葉に何か答える者はいなかった。手と手を取り合えたらどんなによかっただろう。特にティアとは兄妹で争う必要はない。どちらが勝っても虚しさは残る。ヴァンやリグレットだって覚悟を持っても、実際ティアがいなくなれば悲しいはず。そうでなくては、本当に何も残らない。