42話 雪原で示す己が道
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「ぶごっ!」
とりあえず胸倉を掴んでグーで一発。変な声を上げてディストの首だけが左へと回る。
「平手ではなく拳ですか」
「先ずは、です」
殴れば手が痛いからスッキリはしない。でも満足感は得られる。
「な、何をするんですか!?」
「何じゃないでしょ!?私がどれだけ痛くて辛かったと思ってるのよ!」
みんなと再会するまで不眠不休、ほぼ飲まず食わずで痛みに耐えた。気を緩めると一気に意識が持ってかれそうで、一瞬でも眠ることが出来なかった。寝たらそのまま起きれない気がして。思い出すだけで涙が出る。
「私の仕返しの分と悲しませた全員分、殴らせてもらうから」
これで、と右手に杖を召喚させる。ジェイドは小さく笑みを浮かべたまま見守り、ディストはひぃっ!と悲鳴を上げる。
「私とジェイドさんとルークとティアとアニスとイオン様とナタリアとガイにアッシュにノエルと……あとは」
「まだいるんですかぁ!?」
左手の指を折りながら一人一人の名を呼び。それを聞いてディストが突っ込む。まあ、ともかく、ディストに向けて杖を構える。
「んじゃ、歯ぁ食いしばれ!」
「ぎゃ―――っ!!」
今日何度目の悲鳴なのだろう。杖の一番太い箇所で殴打すればその度に悲鳴を上げる。殴り終えた頃にはディストの顔は腫れ上がっており、気絶していた。
「気が済みましたか?」
答えなんてわかってるくせに聞いてくる。杖を消して彼の方に振り返る。来なさい、と言わんばかりに両手を広げられたから素直にその胸に飛び込む。
「本当は、殺したいくらい憎いです。でも……」
「あなたは優しいですからね」
この先のこと云々と言うより、自分のことで血を流させたくない。いや、鼻や口から血は流れてるけど。これくらいならディストは死なない。わかっていたから殴るに留めた。目尻に浮かんだ涙はジェイドがそっと、すくい上げてくれた。